引き続き、お送りします。
お稽古してて、すごい疲れるよね。
まだ素読みで、動いてないしダンスもしてないのに、すごく疲れる。
大浦 脳みそが疲れる。
これから3人でこんな稽古が続くかと思うと……えらいことです。
普通、大勢で稽古してると、「●●のシーンやりましょうか」って
誰かがあぶれたりするんですけど、あぶれないんですよ。
みんな同格に、セリフを喋り、ディスカッションをし……。
大浦 稽古ツライ。
途中でお菓子食べたくなったり、脱走して遊びたい衝動に駆られる
大浦 「マリー」のとき、そんなことしてたらしいですね
しました(笑)
長い話じゃないんだけど、1度やると重くて疲れるんですよ、話が。
梦月 脱走しましたね
お好み焼きとかから揚げとか買い込んだよね
梦月 一日 稽古場に帰ってこなかったとかね。今回もきっとね。
大浦 そんなことが許されるなら!
梦月 許される! やらな死んでしまうねん。
大浦 確かに、1度本読んだだけでも、えらい疲労感や。
物理的に言えば、何度も読めるんです。でも、精神がついていかない!
梦月 今日、2回読んだだけで……全員、声 カッスカスやもんね。
精神的にも、体力的にも、
集中して通して読めるのは、1回限りだということがよくわかった。
梦月 え?本番、日曜日は2回公演あるんやけど。
大浦 どうしたらいいんやろ!?
梦月 今回、沖田くんどうですか。死んでますけど。
そうなんですよ。私、初めてなんですよね、幽霊。
なちさんみたいに、幽霊・死体・悪霊とかやったことないんで。

今回、前と同じセリフとかあるんですけど、
前は病気で死んだらどうしようっていう不安と、
生来の元気さで頑張って生きるぞ、
っていうのが沖田くんだったんですけど
まあ全シーン死んでいるわけではないので、
演じ分ける部分が必要になってきて

こう……すごく生命力にあふれてる部分と、
死んで魂の悟りを部分を演じる必要性があって
心理劇的な描写が強いので、ちょっとした息遣いとか表情とかで
それを変えなくちゃいけないのが、すごく難しいけどやりがいがある。
梦月 死んでる沖田くんは息するんですか?
それ、今日も思ったんですよ!

生きてるシーンは、吐血したり、咳もするし。
でも一間置いたら、すぐに「死後」がきて、
今日そこで「はぁ」って息をしちゃったんですよ。

あ、だめだめ。
沖田くん死んでるんだから「はぁ」って息はないな、って。
梦月 死んだ沖田くんは、舞台から5cm浮いてるんですか?
……なちさんみたいなことできないんで、まっとうに地面に足をつけます。
梦月 地に足ついた幽霊(笑)
悪霊・死体・幽霊をやったことのあるなちさん。
今回は……なんですか、あれは?
梦月 今回、私は未来人です。未来人でありながら……
ワレワレハ……ってやつ?
梦月 それ宇宙人ですから
は!そうか!
梦月 未来人というか……
私は歴史が好きで、歴史の研究を学校で専門にやったりして。
明里が持ってる「伝えていきたい」って気持ちは、
私も実際に持ってるなぁ、って。

前回は「遊女」「敵討ち」「一途な恋」とか、私にはトント無縁な人で
どうなん明ちゃん、って思ってたんやけど
今回の彼女は、未来の人たちへ、過去の人たちへ、自分への
メッセンジャーな意味を持ってて、すごく理解しやすい。

前よりもとっても身近になった気がするし、
台本を読んだ時に、未だかつてないくらい、
スルスルと感情が判るというか。
へー、すごいすごい。
梦月 いつもに増して明確な道筋が見える分、いつもよりやりやすい。
まずは、自分の感情のスタートがそこだから、
本当に伝えられるメッセンジャーになるにはこれからやねんけど。
難しいな、って思いますけど。
梦月 主役のヴィッちゃん、土方さんについてどうぞ。
大浦 続編やるって決まったとき、
もっと歴史歴史したものが出来上がってくるのかな、と予想してて、
土方さんが蝦夷にいく年表みたいなのを想像していたら
ものすごく内側から攻めてきたんで、
「こうくるか、中野さん!」と。

「さくらのごとく」もそうだったけど、
新選組って普通、団体で、大勢で形から入ってくるんだけど、
こう……下の狭いところから、ナナメ目掛けてきゅうっ!っと(笑)
あ、あった!みたいな(笑)
3人でも新選組はできるぞ、と。
大浦 歴史上の人物を演じるのも、土方歳三が初めてやったし、
一人の人間の人生を演じてみたいってのも、
思っていたけどやったことなかったので。
まさに完結ですもんね。
大浦 こんなに大変なことやと思ってませんでした。
まだ30代で終わってよかった!って。
これで80代とか生きてたらえらいことなってた〜!って(笑)
やりがいは感じます。
土方さんについてどう思います?
大浦 あの人は……私とは全然違う人。
何かのために、自分の心を押し隠してまで突き進むほどの強さはないんで。
「流され王子」ですから(笑)
来週までに、宿題が出ましたね
梦月 中野演出、やる気満々ですね
どうしたんでしょうね
梦月 今まで宿題なんて出したことないですよ
ていうか初日に来たことがない!
大浦 途中で放り出されるんじゃないですか
一同 ヤバイ!
梦月 中野演出の好きなもん稽古場に置いておいて留めておこう!
「ガリガリくん」置いておこう!(←中野演出の好物)
「江戸へ帰ります。探さないで下さい」とか。
梦月 時代までもトリップできるようになったんですか!
さすが中野演出!
……放り出されんように頑張ろうな……
大浦 頑張りま〜す。
死してなお受け継がれる精神がある、って話。
土方は慕われてたらしいから
五稜郭で、下の人たちも「あれが新選組の土方か」って憧れた人もいっぱいいたと思うねんけど
土方さんが死んだあとも、志として告がれていって、次の時代が出来ていく、という気がするから
私たちの時代も、そういう人たち、そういう気持ちの礎の上に出来ていると思うので
ちゃんと生きなければならない、って思う。

今回の作品ってそういうものだと思う。
人は死んだら終わりっていうけど、私自身、去年母がなくなって毎日悲しいけど、
やっぱり背中を押してもらってる気がする。

亡くなった人のメッセージをどう読み取るかが大事で、
今回の作品でも、読み取って欲しい。
大浦 学校で習ってるとき、歴史って全然好きじゃなかった。
今の脳みそで歴史を勉強したら、面白いだろうな、って。
この作品で私たちもお客様に何か残せるといいな、と思います。